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日本人を見る目

 

 

 誤解を恐れずに言えば、「フランス人はけち」です。

 

 例えば、エジプト旅行の際、一日だけ、フランス人グループに加わって観光したのですが、エジプトでは博物館やピラミッドの内部などは入場料のほかに「写真撮影料」なるものを必ず支払わなければなりません。せいぜい百円程度で、日本人の感覚から言うと「せっかく来たんだから」となりますが、フランス人は、まず払いませんね。で、敷地の外から撮れる場合は撮る。

 

 また、品物ひとつ買うにも吟味にかける時間が恐ろしく長い。友人に子供が産まれたので、フランス人と子供服の買い物に行った際、二着買うのに一時間。その間何をしているのかというと、「これの色違いはあるか」「もうちょっとカジュアルなのはないか」「これはいくらか」などと店員とやりあっているのです。小さなお店なので一時間に訪れたのは私たちのほかに一組だけ。店員はその間、私たちに付きっきりです。

 

 この点、日本人とは対照的と言わざるを得ません。

 

 パリを観光に訪れた日本人のおじさまたちと一緒に、一日パリを巡りました。エッフェル塔、凱旋門、ノートルダム−。また、今や日本人に欠かせない観光名所「ルイ・ヴィトン」も行きました。おじさまたちは、娘さんや奥さんから頼まれたバッグなどを次々とお買いあげ。おじさまの一人がふと横を見ると、日本人の二十歳代の女性がよさそうなバッグを買っているところです。おじさまが「それ、いいね。いくらするの?」。「分からないんです」。

 

 そう、値段を聞かずに(聞けずに?)買っているんです。それで店員さんに聞いて上げたら、バック二つで5100フラン(約8万円)。フランス人が5100フランの物を、値段も聞かずに買うことは、まず絶対と言っていいほどないでしょう。

 

 シャンゼリゼ通りに面したルイ・ヴィトンでは、八割方日本人。ルイ・ヴィトンの全生産量の四割は日本人向けと言われています。

 

 フランスの高級店は、客一組に店員一人がついて、商品説明から支払い包装まで責任を負って受け持つシステム。そのため、店員に空きができるまで、列をつくって待つことになります。この店に限らず、デパートの中のルイ・ヴィトンでも、日本人が長い行列をつくっていて、フランス人から奇異の目で見られたりしています。

 

 一時間ほど待って、やっと店員にありついても、商品がすべて棚に陳列されているわけではないので、こちらの要望を伝えると、その度に店員が奥に行って商品を持ってきます。まあ、店を出るまでに二時間は覚悟が必要でしょう。それにもめげずに次々とお買い上げしていく日本人。店員も高級店ですからあからさまには表現しませんが、どこか客を見下したような雰囲気を漂わせています。

 

 さて、件のおじさまたちと悪戦苦闘のお買い物の末、同じシャンゼリゼのカフェで昼食を取りました。私たちを給仕してくれたボーイさんは親切だったのですが、柄の悪そうな若いボーイが、ルイ・ヴィトンの袋を抱えたおじさまたちを見て、あからさまに馬鹿にしたような視線を送ってきます。「なんか用?」と聞くと「別に」と言って引っ込んでいきました。

 

 特に黙っても客が来るような観光地には、この手のフランス人がいっぱいいます。確かに、日本人の側にも改善すべき点はありますが、彼のようなフランス人の態度は、やっぱり差別だと思うのです。

 

 

             

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